15年前に夫の診断が出たころ、発達障害のことを知る人は、
地元には、ほとんどいなかった。

本屋さんで探しても、関係書籍は、難しい本ばかりで、読むのに苦労した。

司馬理英子さんの「ジャイアンのびた症候群」が、流行りだしたころで、
大人の発達障害なんていないと思われていた。

息子の3歳児健診で、私が保健婦さんにその特性を訴えても、
「発達障害は、発達がどこかで追いつくこともありますから、様子を見ましょう」と
待ったをかけられるような時代だった。

私は障害児学校に勤務していたから、障害は「早期発見、早期療育」であることを
知っていた。

でも、息子を適切に受け入れてくれるところは、確かになかった。

そして、そばにいるもっと大変な夫を理解する人は、皆無だった。

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アスペルガー・アラウンドのASD勉強会の中で、私は、

今は、書籍が山のように発刊されて、情報が満ち溢れている。

けれども、私の求める内容が書かれている本は、未だにない。

と話してきました。

私が唯一、手がかりにしてきたのは、洋書であり、そして、アストン博士の翻訳本だった。

今、ようやく、和書として、はじめて、私が15年前に、読みたかった本が発刊された。

宮尾益知
滝口のぞみ共著
「夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本」
誰にもわかってもらえない〝カサンドラ症候群〟から抜け出す方法

河出書房新社

夫がアスペルガー

長く、長く待っていた本の表紙に、〝カサンドラ症候群〟という
副題があり、そして〝抜け出す方法〟まで、提案されていることに
胸が熱くなり、感動すらおぼえる。

ASD勉強会で、おすすめの本の一冊は、あきらかに入れ替わる。

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この記事のタイトルを私はカサンドラ序曲とした。

15年前にこの本があれば、私は、アスペルガー・アラウンドを起こさなかったかもしれない。

そう思うほど、この本は、私が待ち望んでいたものだ。

しかしながら、それはもっと早く15年前に発刊されるべきだった。

今、私は、アスペルガー・アラウンドの活動から、カサンドラという状態を
夫婦間に限らない視点でとらえていきたいと痛感している。

ゆえに、この本は、カサンドラ序曲。

スタートに過ぎないと予感するのだ。